どう思う?太陽光パネル設置の義務化

レポートWeb版

条例改定の審査に向けて

都議会議員の西崎つばさ(目黒区、38歳、3児の父)です。

気づけば寒さを感じる季節となりましたが、思い起こせば今夏の暑さも過酷でした。

東京では統計史上初となる9日連続の猛暑日が、なんと6 月下旬から観測され、気象庁の専門家会議は「異常気象である」との見解を示しました。

また、9 月に日本各地へ被害をもたらした台風14・15 号は、気象災害としては今年だけで3 件目の激甚指定となりました。いまや我々は「経験したことのない危機」に、毎年のように直面しています。

言うまでもなく、これらの一因とされているのが気候変動・地球温暖化であり、早急に対策を講じる必要性は、2 年前のレポートでも指摘したところです。

今号では、こうした中で新たに東京都が打ち出している「住宅用太陽光パネルの設置義務化」を取り上げます。

西崎は賛成の立場

先に私の結論から申し上げると、気候危機に対応し、持続可能な地球を将来に引き継ぐ観点から、今回の新制度には賛成の立場です。

都の事前アンケートでも、総論では賛成が多数派であると伺える一方で、パフォーマンス先行での発表が誤解や混乱を引き起こしているという声も届いておりますので、あらためて整理しつつ、皆さまのご意見を頂戴したく存じます。

なぜ必要なのか?


再生エネルギー電力の比率について、東京都は2030年に50%を目指していますが、現時点での利用割合は19.2%と、目標には遠い状況です。ただ、太陽光パネルの設置割合はわずか4.24%に過ぎないため、大きな伸びしろがあるとも言えます。

さらに、エネルギー消費量の推移を見てみると、業務・運輸・産業といった分野で減少している一方で、家庭だけ唯一の増加傾向にあり、ここの対策が不可欠となっています。

義務を課されるのは?


誤解の多い部分ですが、義務を課されるのは大手ハウスメーカーであり、都民ではありません。年間の供給延床面積が2 万㎡以上の事業者が対象で、都内では約50 社と見込まれています。

ハウスメーカーは、基準に従って新築住宅への太陽光パネル設置を行い、注文または購入する都民は、環境負荷に配慮したうえで最終判断することが求められます。

既存の物件は対象とならないほか、日照条件や住宅の形状などを勘案するため、例えば屋根の面積が小さい住宅は設置しないことも可能となっており、都は新築物件の半数程度が対象になると見込んでいます。

環境および経済的メリットは?


平均的な容量である4kWのパネルを設置した場合、夜間や雨天の影響を差し引いても、一般家庭における1 年間の電力消費量の8 割程度を賄える計算となります。これによるCO2の削減量は、スギ200本分の吸収量に相当します。

また、パネルの製造から運搬、廃棄などに投入されるエネルギー量は、1~ 3 年程度で回収できると言われており、環境負荷の低減に寄与します。

そして、上記の場合は年間93,600円のメリットがあり、30 年間で約120 万円の収入。現行の補助金を活用した場合は、6年で初期費用を回収でき、30年間では約160万円の収入になると都は説明しています。

さらに、もし停電が発生した際にも、太陽光発電により電力を確保することが可能となります。

行政による支援は?


都は現在でも、太陽光パネルや蓄電池などの設置に対する補助金を設けていますが、これらの充実に加え、初期費用ゼロでパネルを設置できるサービスの活用など、費用負担の軽減を検討するとしています。

また、事業用のパネルをリサイクル処理している施設へ、今後は住宅用パネルを誘導するための枠組みについて、協議が始まっています。

ご意見をお寄せください

今後、12 月の都議会に条例改正案が提出され、議論および採決が行われ、もし成立すれば2 年程度の準備期間を設け、2025年4月から制度がスタートすることになっています。

EU や米国など、世界各国の都市で太陽光パネル義務化の動きが先行している中、東京が遅れるべきではありませんし、さらには国をも引っ張っていく必要があると考えます。

「義務化はやり過ぎ」、「まだまだ足りない」など、様々なお考えがあると思いますので、疑問や不安、不満なども含めて、ぜひ下記のアンケートにご協力ください。

※ 過去のレポートはこちら