葛飾研修2018

研修・視察

朝は手塚よしお衆議院議員と祐天寺での駅頭。その後は、私が事務局長を務める「東京若手議員の会」の研修会へと、葛飾へ飛び立ちました。今回のテーマは子育て支援系、特に発達障害児やその親御さんへの対策に時間を割いています。

1.マタニティパス
母子手帳の交付時に、妊娠のお祝いとして5500円をチャージした交通系ICカードをお渡しするという事業です。目黒区も今年度から実施している「ゆりかご東京」の事業として、カードや母子手帳の交付と同時に、全妊婦を対象とした面接を行っています。

葛飾で特徴的なのは、保健所や区の担当課だけではなく、区内の基幹型児童館にも「子育て総合窓口」を設置し、予約は必要ですが同様の面接を受けられる点です。住民票の確認は電話で行い、土日祝日にも対応しています。さらに驚いたのは、ゆりかご東京の1万円パッケージを縮小したのではなく、それは出産後に別の形で子育て応援券をプレゼントしているという事です。つまり、葛飾区が完全に独自でICカード交付を行っているのですね。

お話しくださった課長によると、とにかく支援しようということで、予算計上した後にも事業の形を修正し、ようやく昨年の10月30日に実施したとの事でした。来年度に効果測定を行うそうですが、他自治体にも広がりを見せるのか、今後も注目です。

 
2.5歳児健診
5歳児がいる全ての家庭にアンケートを送付し、SDQの点数が高く、対応が必要だと思われる子に対して、集団遊びの観察や面談、意思の診察などを実施し、その後のフォローに繋げていく事業です。実は目黒区でも5歳児健診を実施しており、こちらは全児童に健診票を送付して医療機関で受診してもらうという内容ですが、発達障害に特化したものではなく、受診率も60%強にとどまっています。(葛飾のアンケート回収率は80%強)

葛飾の特徴は、アンケートによって何らかの対応が必要であると考えられる子に対して、様々な機関が連携して支援する体制が築けている点です。区内のほとんど全ての保育園・幼稚園が、調査や観察に協力しており、医師会も非常に協力的で、ケースによっては療育機関の紹介にも繋げる事ができています。また、当初は想定していなかった成果として、1割程度の子が眼科の受診勧奨の対象であると判明した事が挙げられていました。

次のコマにも関連するのですが、発達の課題や状態や人それぞれであり、できるだけ早期に個々に合った対応をとることが重要であるため、関係機関が一帯となって支援する体制が構築できていることは素晴らしいと思います。目黒区の5歳児健診に改善の余地がないのかも、今後調査しなければなりませんね。

 
3.ペアレントメンター
昨年のマニフェスト大賞で優秀政策提言賞を受賞した長谷川たかこ区議の提言によって、23区で初めて事業化されたものです。ペアレントメンターとは、自身も発達障害のある子どもを育てた経験がある親が、同様の後輩パパママの相談にのったり、アドバイスをしたりする支援者の事です。

事業が提案された平成25年当時のスクリーニング調査では、公立保育園に通う園児の半数近くが、発達面での課題や心配を抱えていることが分かっています。また、文科省の調査などによると、小中学校の通常学級に在籍している発達障害傾向の児童・生徒は6.5~20%ほどいるとされており、潜在的ニーズがあることは明らかでした。長谷川区議とペアレントメンター候補の親御さんが協議を重ねたのち、一般社団法人を設立して受託する形で、平成28年に事業が開始されました。

開始後は、悩んでいる親に対して当事者ならではの経験談がアドバイスされるといった一面だけでなく、ペアレントメンター間での相互理解が深まったり、輪が広がったり、啓発や情報提供の機会が増えたりと、様々な効果がもたらされているとの事です。今後は、相談の場の常設化や、規模の拡大などが課題であるとの事ですが、まさに協働事業としての支援制度が、さらに広がっていくことが期待されますね。