まだ定例会中ですが、合間をぬって「関東若手市議会議員の会」の研修へ。今回は群馬県での開催です。少しずつ、主だったところを報告していきます。
2018.6.25 沼田研修
スマートウェルネスぬまた
初日は沼田市。活動量計を活用した、市民の健康づくりの取り組みを学びました。
同市では、市民の健康ライフスタイルの習慣化を目指した「スマートウェルネスぬまた」の一環として、活動量計(≒万歩計)を活用したウォーキングを推進しています。
具体的には、活動量計を配布(個人負担2000円)し、歩いた結果を月に1回データを読み込んで個人カルテとして出力してもらい、健康上の指導や相談をしたり、歩数に応じて買い物で使用可能なポイントを配布したりする取り組みです。
中之条研究
この事業の根拠となっているのが、青柳幸利博士の「中之条研究」です。恥ずかしながら、私は今回の研修で初めて知ったのですが、群馬県中之条町の町民5000人以上を対象に、10年以上かけて活動量と健康状態の相関を研究したものです。
詳細はネットに幾らでも転がっているので割愛しますが、1日8000歩かつ中強度活動時間20分が理想的な運動量であるという研究結果が出ており、国保における医療費の節減効果も示されています。
目黒区での可能性
目黒区においても、坂道マップなどウォーキングが推進されていますが、歩くことによる健康づくりの政策根拠は示されていません。
中之条研究では、12000歩以上の運動は逆効果となる可能性も示されており、客観的なデータに基づく区民への働きかけが必要と言えそうです。
テクノアカデミー
山奥へと移動すると突如見えてくるのが、建設業の職人養成学校であるテクノアカデミーです。こちらは、廃校となった小学校を、ほぼそのままの形で活用している施設です。
建設業界は深刻な人手不足に悩まされており、その原因の一つに若い人材が定着しないことがあります。その背景には、新人のうちは技術が不足し仕事が満足にできない一方で、それを指導する体制が不十分だという事情があります。
合宿型実践訓練
そこで、テクノアカデミーでは、建設業界で働き始めた新人に対し、3ヶ月の合宿で徹底的に基礎を叩き込み、きちんと仕事のできる技術を身につけさせて会社に戻します。
↓重い資材を運びながらの歩行訓練(動画)
↓ビス打ち訓練(毎日タイム計測しています)
↓私も左官コースの訓練を体験させていただきました。
日本全体の問題
こちらの施設には、群馬だけではなく日本全国各地から受講生が集まっています。日本人だけでなく、海外からの研修生も多く含まれています。国の補助金を活用して、送り元の会社の負担が抑えられるということもありますが、それだけニーズがあり、かつ供給が少ない分野であると言えそうです。
人材不足による建設費の高騰は、目黒区も含め日本全体が直面していますが、その課題解決法に踏み込んだ話はほとんど聞きません。
まして、こちらは地元の社長さんが初めた、民間の取り組みです。業界の当事者として、問題の本質を理解しているからこその事業です。行政は邪魔さえしなければ良い、という民間の力強さをあらためて感じさせます。
業界の話に圧倒されて、すっかり忘れていた「廃校活用」という面からも、過疎となっている周辺地域の産業への貢献や、地元住民の雇用など行き届いており、言うことなし。資材メーカーとの連携や独自の開発による特許取得、その技術伝達にも力を入れています。
思いがけない場所で、超強力な先進事例に出くわしました。