公費負担条例への賛成討論
会派を代表して、区議会議員選挙におけるビラ頒布の公費負担を定める条例について、賛成討論を行いました。以下、討論原稿を転載いたします。
はじめに
私は、立憲民主・区民クラブを代表して、議案第36号、目黒区議会議員及び目黒区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から討論いたします。
はじめに、この条例案は平成29年6月の公職選挙法の改正によって、町村議会を除く地方議会議員の選挙においても、候補者が選挙運動のためのビラを頒布することができることとなったことに対応するものであります。
この改正については、特別区議会議長会も会員となっている全国市議会議長会において、平成24年以来、議決をもって要望してきた内容であり、我々も心から歓迎しております。
一方、改正公選法案の要綱では、「条例で定めるところにより、ビラの作成について、無料とすることができるものとする」という、いわゆる「できる規定」となっており、公費負担を定める条例の制定は、各自治体の任意となっています。
こうした経緯の中、今回、公費負担に関する条例改正案が行政提案で提出されたものであります。
新たな税金投入、という見方
さて、公職選挙法142条に新たに追加されることになった法定ビラの頒布に対して、公費負担のための条例改正を行うことは、言うまでもなく新たな税金が投入されるということになります。企画総務委員会の審査においても、1枚あたり最大7円51銭という数字が明らかにされました。
政務活動費の問題をはじめ、地方議会に厳しい目が向けられている中で、選挙にさらなる公費が投じられること、それが議会の議決によって決められることは、有権者に疑問を持たれるかもしれません。
賛成する2つの理由
しかしながら、我々は2つの理由から、本案に賛成いたします。
機会均等の観点
1つ目は、機会均等という観点です。これまでも、区が実施するポスター掲示板の設置や選挙公報の発行、またポスターや選挙カーへの公費負担などといった選挙公営が行われてきましたが、これらは立候補や選挙運動の機会均等を図り、お金のかからない選挙を実現することを目的としています。
今回、新たに認められた法定ビラの頒布についても、候補者の財力によって不公平が生じることはあってはならず、公費負担を定めることは妥当であると判断いたします。
政策本位の選挙という観点
もう1つの重要な理由は、ビラが有益な判断材料を有権者に提供するものであるという点です。そもそも、これまでの選挙運動における文書図画の頒布は非常に限定的であり、候補者が誰であるかは伝えられても、何をしたいのかを伝えるには不十分であったと考えます。
実際、こうした背景から、首長選挙においては11年前、平成19年の公選法改正でビラの頒布が解禁され、それ以降、多くの情報が有権者に届いています。なお、この際に地方議会議員選挙への適用を見送った判断は、今でも理解しかねるところであります。
また、膨大な情報の掲載が可能なインターネットによる選挙運動は、平成25年の参議院議員選挙から解禁され、こちらは全ての選挙に適用されていますが、ICTに不慣れで、各候補者の情報を入手できない方が多くいらっしゃるのも事実です。
地方議会議員選挙におけるビラ頒布を認める公選法改正は、残念ながら今回は町村議会が対象外ではありますが、こうした状況を打開し、判断材料を容易かつ詳細に有権者に提供することで、候補者がどういった人物かだけではなく、何をしたい人物なのかを伝わりやすくし、政策の比較による選挙がより推進されるものであります。
今後の区議選への期待を込めて
これらのことから、本条例案が議決された場合に発生する新たな公費負担以上に、今後の目黒区議会議員選挙において、いっそう質の高い選挙が行われることを大いに期待し、本案に賛成します。
以上、討論とさせていただきます。