2018.10.23 生活福祉委員会 視察
米子市の中心市街地活性化
米子市は、人口12万人の町にも関わらず高島屋と大丸があるなど、商都として栄えてきました。しかし、近年は販売額の減少や空き店舗率の増加、郊外型の大型スーパーによる影響などが課題となっていました。
これに対応するため、中心市街地活性化法にもとづく基本計画を策定し、かつては公共事業などハード面の整備を中心に進めていましたが、2015年に認定された現認定計画では、民間事業が中心となっており、この民間主導の取り組みが米子方式の特徴と言えます。
事業毎にまちづくり会社が設立されており、現在では6つの株式会社と2つの特定目的会社によって、各エリアの活性化が図られています。
ほっしょうじ通り
こうした方式の先駆けとなった成功例が、中心市街地の商店街の中で最も寂れているとすら言われていた法勝寺通りです。同エリアでは、商店街の振興組合すら既に解散していたため、必然的な流れとして、取り組み主体となるまちづくり会社(株式会社 法勝寺町)が設置されました。
同社は、維持費や電気代の負担が重荷となっていたアーケードの撤去と、老舗の蔵の改修をセットで実施し、加えて通りのリニューアルを進めました。同社が提案してきた内容は、6m道路の真ん中に植栽を植えるであるとか、側溝を片側のみに整備するなど、行政主体では不可能なものであり、そこから様々な協議を要したとはいえ、民間主導の利点が発揮されています。
アーケードが撤去され、爽やかな雰囲気に生まれ変わった通り↓
また、水銀灯をLED化して電気代を削減してイベント財源を捻出し、イベントやお祭りを企画するなど、様々な挑戦がなされています。
地元の有名なおじちゃん、おばちゃんをモチーフにしたオリジナル七福神像↓
所感
米子市の活性化の取り組みでは、必ずしも全てが成功しているわけではないと聞きましたが、取り組みのキーポイントは「世代交代」のようです。
例えばアーケードにしても、かつては「雨に濡れずに買い物を」と、先代の商店主たちが整備し、その後の隆盛など一定の成功を収めてきたものです。ところが、時代が変わり、アーケードが過重な負担となっている現実を前に「まだ若い者には任せられない」と踏みとどまっていると、ズルズルと衰退していくのみです。そこを新しい世代に任せることで、新たなチャレンジが起こり、ニーズに即した活性化策を打っていけるのです。
なんだか遠い世界の話ではない気もしますが、要は物事を動かすのは制度でも補助金でもなく、人なんだということを、あらためて感じさせていただきました。
足立美術館
島根県安来市にある足立美術館は、地元出身の実業家である足立全康氏が1970年に創設し、世界に誇る美術館を理念に運営されています。「庭園もまた一幅の絵画である」という言葉のように、広大で美しい日本庭園が特徴で、アメリカの日本庭園専門誌で15年連続1位に選ばれています。
年間60万人以上が訪れている盛況ぶりで、年齢層も60~70代が15%程度と、比較的若い方からの訪問も受けていることが特徴と言えます。また、外国人来館者も3万人を突破し、5万人を目指して豪華客船ツアーや旅行会社の担当者への営業アプローチを行っているとのことです。
広大な日本庭園の一部↓
民間と公立の美術館に多少の違いはありますが、多くの方に来ていただきたいという点は同様です。その意味では、庭園という大きな特徴を持っていることの強みはとてつもないと言えます。また、それを維持するために常勤の庭師を7名確保するなど、努力も惜しまない姿勢も評価すべきと思います。
目黒区立美術館で、いきなり横山大観や魯山人の作品をふんだんに集めて集客することは困難だと思いますが、そうではなく、区内外の方々に届けたいメッセージ、観てほしい切り口をより分かりやすく見せることで、区の芸術文化施策にも勢いがつくのではないでしょうか。
そちらに疎い私には、なかなかイメージできませんが(^_^;)