「めぐろ自転車ルール」に向けて
自転車は、環境負荷が低く、健康増進の観点からも利用されることの多い、非常に便利な交通手段です。
しかし、近年は電動アシスト車やスポーツタイプ車が増加する一方、「ながらスマホ」や信号無視、傘差し運転やイヤホン走行といった違反も目立ちます。
自転車には、場合によっては大事故に繋がりかねない、危険な側面があることを忘れてはなりません。
自転車事故の全国的な動向
全国の自転車関連事故の件数は、2007年以降、減少の一途を辿っており、ここ10年でほぼ半減しています。ところが、全交通事故に占める自転車の割合は2017、18年と増加して約20%となっており、中でも対歩行者や自転車同士、そして単独事故が増加しています。
また、発生した事故の60%以上で何らかの交通違反があったとされており、この割合は10年でほぼ変わっていません。
国は、2013年の道路交通法改正で、路側帯の逆走禁止や、悪質な違反者の講習受講義務などを定めましたが、まだまだ交通ルールを徹底させるには至っていないと見ることができます。
(図解)自転車事故の推移
この10年間で、全ての交通事故件数は73.7万件から43万件に減少し、自転車事故も15.6万件から8.6万件に減少していますが、自転車の割合は20%前後でほとんど変わっておらず、むしろ直近の2年間は増加しています。
同様に、自転車事故において何らかの法令違反があった割合も、約65%とほぼ横ばいで、この2年間は増加しています。交通違反を減らすことが、自転車事故の減少に直結すると言えます。
東京都は保険義務化へ
折しも東京都は先日、「自転車安全利用条例」を改正し、利用者の損害賠償保険への加入を義務としました。罰則はないものの、これまでの努力義務を引き上げる意味は決して小さくありません。
背景には、小学生が起こした自転車事故で、母親に約9500万円の支払いを命じた神戸地裁の判決のように、高額な賠償金が課されるケースが出ている一方で、保険加入率は53%程度と伸び悩んでいる現状があります。
たかが自転車、されど自転車。皆さまは保険に加入しているでしょうか。
調査で判明した「安全意識の差」
なお、都の調査では、歩行者と自転車の安全意識に差があることが報告されていました。自転車にそのつもりはなくても、歩行者にとっては危険だと思う場面が多いことが示されています。
目黒区も条例制定へ
目黒区はこれまで「交通安全計画」や「自転車走行環境整備計画」によって、ソフト・ハード両面から施策を講じるとともに、2019年1月からはシェア・サイクルを開始するなど、マナー啓発と活用のそれぞれを推進してきた経緯があります。
区内の自転車関連事故は、2018年で201件となっており、23区では珍しく減少傾向ですが、全事故に占める割合は全国の2倍近い状況です。私自身も多くの方から、車の運転中や歩行中などに「自転車にヒヤリとさせられた」というお声を頂いています。
区は、こうした社会的な動きや意識の高まりを受け、新たに条例を制定し、自転車の安全利用促進の仕組みづくりを行う方針を発表しました。まだ方向性の段階ですが、全ての利用者にヘルメット着用の努力義務を課すなど、早くも独自色が示されています。
実際の条例案は来年2月の議会に提出される予定ですが、基本的な考え方について、10月20日まで意見募集が行われています。
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/koan/jitensya_anzenriyou.html
この機会に、皆さまもお考えをお寄せになってはいかがでしょうか。(もちろん、私にご意見を頂いた場合も、今後の議会活動で大いに参考にさせていただきます。)
目黒区の取り組み例
自転車ナビマーク
自転車の走るべき部分や方向を明示するため、道路へのナビマークの整備を進めています。特に、自転車の左側通行は、安全のために非常に重要です。
シェア・サイクル
各所の「サイクルポート」で電動アシスト車を借りて利用し、任意のポートに返却できる事業を、民間事業者に委託して実施しています。