こんにちは、都議会議員の西崎つばさ(目黒区、38歳、3児の父)です。
新型コロナ以降、外で飲食する機会が激減し、自宅で晩酌する機会が増えた方が多いと思いますが、私もそのうちの1人です。
ある日、子どもの寝かしつけも終わった静寂の夜に、好きなお酒を飲みながら、おつまみには欠かせないカルビー「堅あげポテト」の小袋タイプを食べていたら、何かいつもと違うことに気づきました。
アレッ!?こんな表示、前からあったっけ?しかも、この文章はどこかで見たような気が…
晩酌のたびに気になって気になってお酒も進まないので、ちょっと調べてみました。ということで今回は、カルビーが示す「お菓子のおすすめ年齢」について取り上げます。
子どもの事故予防
恐縮ながら、前半は私の仕事に関連した話になります。ポテチの話だけ知りたい方は、後半「カルビーの取り組み」へお進みください。
さて、私は3人の子どもを育てながら議員活動をしていることもあり、普段から子ども関連施策には強い関心を持っておりますが、その一環として「子どもの事故予防 地方議員連盟」に参加しており、副会長を拝命しております。
我々は、科学的・客観的に予防可能な子どもの事故を未然に防ぐことを目的に、超党派で調査研究や意見交換、業界への要望活動などを行っており、2021年秋には日本最大の政策コンテスト「マニフェスト大賞」で優秀政策提言賞を受賞しています。
「食の事故」防止
この議連には、食べ物に関する事故を集中的に取り扱う「食の事故防止委員会」が設置されており、特に節分の豆による事故に力を入れて活動してきました。
直近では2020年2月、松江市の認定こども園で、節分行事の豆を喉に詰まらせた4歳児が死亡する事故が起きてしまいました。
内閣府の定める事故防止のガイドラインでは、使用を避ける食材として節分の豆が挙げられており、これが徹底されていれば防げた可能性のある大変悲しい事故でしたが、同じような事例は過去に何度も発生してきました。
こうしたことから、議連所属の議員が、それぞれの地元の保育園および幼稚園での豆の取り扱いを議会で確認するとともに、NPO法人「Safe Kids Japan」と共同で、日本ピーナッツ協会に対して、豆類を幼児に与えないよう注意表示を強化する要望書を提出しました。
これらの成果かどうかは分かりませんが、消費者庁は2021年1月、硬い豆やナッツ類を5歳以下の子どもに食べさせないよう求める注意喚起を発出し、内閣府や文部科学省、厚生労働省と共同で全国の自治体に情報提供を行いました。
その後の調査では、保育・教育現場で本物の豆を扱わない割合が一定程度増えていることが分かりましたが、さらなる対応を求めて、2021年12月に議連から各省庁に要望を提出しています。
カルビーの取り組み
いよいよカルビーの話です。
カルビーのホームページを辿っていくと、商品ごとに「おすすめ年齢」を設定していることが分かりました。私はお菓子マニアという訳ではないので、正直すぐには姿や形が思い浮かばないものもありますが、全て転記すると以下のようになります。(全てサイトより抜粋)
お菓子ごとのおすすめ年齢
1歳頃から(注意表記あり)
・1才からのかっぱえびせん、1才からのサッポロポテト(つぶつぶベジタブル)
( ´-` )。oO(そりゃそうだ…
3歳頃から
・ポテトチップス(Calbeeポテトチップス、ポテトチップスクリスプ、ピザポテト、ポテトチップギザギザ、ポテリッチ、じゃがいもチップス、シンポテト、カード付ポテトチップス、スーパーポテト、カラビー、春ぽてと、夏ポテト、ア・ラ・ポテト、冬ポテト、ポテトチップス贅沢ショコラ)
さすがに多い…
・かっぱえびせん、絶品かっぱえびせん、かっぱえびせん匠海
・サッポロポテト(つぶつぶベジタブル、バーベQあじ)
・さやえんどう、チーズビット、おさつスナック、やみつきもろこし
3歳頃から(注意表記あり)
・ベジたべる
4歳頃から(注意表記あり)
・堅あげポテト、クランチポテト、ポテトデラックス
・じゃがりこ、大人のじゃがりこ、えだまりこ、さつまりこ、Jagabee(じゃがビー)
・ぽころ、燻じゃが、じゃがポックル、じゃがリムセ、じゃがピリカ、いも子とこぶ太郎、とろっとチーズ味のカリカリポテト、GRAND Calbee、ちゅらぽて、じゃがほっこり
6歳以上(注意表記あり)
・miino(ミーノ)、いも太とまめ次郎
年齢設定の背景
このように、カルビーはほぼ全ての商品に「おすすめ年齢」を設定していることが分かりましたが、一体どんな理由で、いつ頃から始まったのでしょうか。
私も行政や議会に関する調査には慣れていますが、民間企業については大した当てがありませんし、ネットを見渡してもすぐには見つかりません。
そこで思い切って、かの有名な「カルビーお客様相談室」に電話してみることにしました。
受付時間 10:00~16:00(土・日・祝日を除く)
カルビーの責任ある対応
…ということで、こちらとしては満額回答を頂いた気分です。
つまり、2021年1月20日に消費者庁から注意喚起が出されたことから、自主的に商品を点検し、食べるのに適した年齢の目安を設定したということです。
よく見れば、多くの商品が「~歳頃から」となっている中、豆類が入っている「miino(ミーノ)」と「いも太とまめ次郎」は、明確に6歳以上とされており、「5歳以下には与えないで」とする消費者庁の警告に完全に従っていることが分かります。
その他のお菓子の年齢設定や注意表記も、おそらく社内で議論されて決められたのでしょう。
うちの3兄弟もそうですが、お菓子が好きな子どもが多い中、あえて年齢を設定することは、売り上げ的には決してプラスではないかも知れません。
しかし、子どもの安全を第一に考え、自ら商品の見直しを行ったカルビーの姿勢には非常に好感が持てますし、私もますますファンになりそうです。
さらに世間に広げていきたい!
いかがでしょうか?
子どもが口にする食品の安全性について、自分自身で気をつけるのは難しいため、周囲の大人がしっかりと注意しておかなければなりませんが、さりとて何に注意すれば良いのか分からない場合も多いでしょう。
そこで、メーカー側が自ら年齢の目安などを示すことは、保護者にとって大きな助けとなります。
カルビーのように、責任をもって自社の商品の安全性を点検し、消費者に注意を促す取り組みが、さらに広がっていくことを期待するとともに、多くの大人が子どもの事故予防に関心を持っていただくことを願っています。
※ なお、他社にも同様の取り組みがあるかも知れませんが、たまたまカルビーの製品で気づいたので、本記事の執筆に至ったことを付け加えておきます。