子どもの事故予防について
こんにちは、東京都議会議員の西崎つばさ(目黒区・39歳・3児の父)です。
子どもの事故予防については、これまで都・区議会で議論してきたことに加え、地方議員連盟の副会長を務め、2 年前のレポートでは「節分の豆」問題をはじめとした安全管理の最前線をご紹介するなど、議会内外で調査や提言を重ねてきました。
その甲斐もあってか、ついに東京都が大きく動き出しましたので、本記事でご報告いたします。
キーワードは「見守りだけでは防げない!」
昨年は、バスへの置き去りやベランダからの転落など、子どもの重大な事故が相次いで報じられました。そのたびに「子どもから目を離すな!」といった非難が上がりますが、一つ興味深い調査結果があります。
NPO 法人キッズデザイン協議会によると、子どもの事故は親が原因だと考える人が全体の8 割を占める一方で、子どもを常に注意しておくことは不可能であると、同じく8 割の人が思っています。
産業技術総合研究所は、子どもが転倒するのにかかる時間は0.5 秒、1 メートル落下するのには0.45秒などと、事故が文字通り「あっという間」に起こることを科学的に分析しています。
そこで東京都は、有識者の提言も踏まえ、2022 年7 月の発表資料で、以下の考え方を示しました。
・過度な注意喚起や行動制限は、子どもの成長を阻害する恐れがある。
・「危ないところを変える」という事故予防の考え方にも基軸を置き、リスクを減らす。
セーフティ・レビュー事業の実施へ
それでは、何をどのように変えて、子どもの安全を守っていくのか。それを具現化するのが、新たに実施する「セーフティ・レビュー」です。
これは、事故情報をデータベース化し、分析や検証・予防策の研究など、産官学民が連携して事故を減らしていく新たな試みです。勘や経験ではなく、科学的・客観的な手法で、子どもの事故を防ぐことが期待されます。
他にも、次々と新たな対策が
さらに、東京都はこれ以外にも、子どもの安全に関する新たな事業を数多く打ち出しています。
製品の事故情報を共有(生活文化スポーツ局)
製品などの安全対策に向けた、NPOによる子どもの安全のためのプラットフォーム「Safe Kids」の運用を支援
子どもの事故予防に関するハンドブック(子供政策連携室)
都庁各局の事故予防の広報をまとめ、子どもの目線や専門家の研究手法などを取り入れ、「子どもを主軸」に再編集してハンドブック化
乳幼児の事故予防ソフト(福祉保健局)
乳幼児期の事故防止学習ソフトをリニューアルし、危険な場面を大人が学習できるコンテンツを制作
日常生活での事故を予防(東京消防庁)
日常生活事故防止動画(子ども編)を制作。発生件数の多い事故事例などを紹介し、子どもの発達段階に応じた予防対策、事故発生時の対応を公式SNSやDVDにて普及啓発
安全な住宅環境を実現(住宅政策本部)
「東京こどもすくすく住宅認定制度」により、子育て世帯に配慮した住宅の供給を促進
安全な製品開発・改良を支援(産業労働局)
安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業において、子どもの事故予防などに資する技術や製品の開発・改良に取り組む事業者に対して支援を実施
みんなで、子どもを守る取り組みを
2021 年12 月の質問では、歩道橋の定期点検の際に、構造体の健全性だけでなく、子どもがすり抜けてしまう可能性のある危険箇所などを併せてチェックすることを提案したところ、都は「安全に対する認識を職員で共有し、点検の精度を高める」との見解を示し、改善に至りました。
子どもの事故は、子ども向け製品やサービスだけでなく、あらゆる場所で起こり得るため、保護者だけでなく社会全体の気づきを促す必要があります。また、こうした視点が広がることは、誰にとってもやさしい社会へと繋がるのではないでしょうか。
私事ですが、先日「子ども安全管理士」の資格を取得しました。今後は専門家としても、都政の取り組みをチェックしてまいりますので、皆さまのご意見やご懸念なども、ぜひお聞かせください。
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