まちの魅力

西崎つばさの活動

研修シーズンも残りわずか。今日は「関東若手市議会議員の会」の公式研修ということで、スーパーあずさに乗って山梨県甲府市に行ってきました。

研修内容は大きく2つ。都留市の「日本版CCRC」と、甲府市の「地域資源を活かしたまちづくり」です。

1.日本版CCRC
CCRCはアメリカで生まれた概念で、「Continuing Care Retirement Community」の頭語をとったものです。直訳すると「退職後の継続的なケア付きコミュニティ」といった所でしょうか。老後まだ元気な内からそのコミュニティに移り住み、アクティブに活動し、介護が必要になってもそのまま暮らすことができる、というコミュニティというイメージです。

政府も検討を進めており、有識者会議の最終報告も出されています。ポンチ絵としてはこちらが分かりやすいと思います。(政府の資料です。)

特に日本においては、東京から地方移住を希望する方の支援や、ご高齢者の健康な生活、また東京の一極集中高齢化への対応といった面から取り組みが進められています。

都留市では、かねてからシルバー産業の構築を推進してきた経緯があったそうですが、その流れとCCRCの考え方が結びつき、「生涯活躍のまち」を目指す方向性が打ち出されています。特徴的なのは、大学と連携して各種の講座や健康づくりを目指している点でしょう。

時に懸念されるような姥捨て山事業ではなく、リタイアしたら都留市へ移住しようという考え方が広がれば、常にシニア世代がアクティブに活動する活性化したまちへと発展するかも知れません。

こと目黒区をはじめとした都心部も無縁ではない話だけに、その今後に注目です。

2.地域資源を活かしたまちづくり
ご講演下さった土橋さんはNPO法人「こうふ元気エージェンシー」の理事長ですが、実は甲府市の職員です。いわゆるスーパー公務員で、甲府のまちを愛して止まない気持ちがひしひしと伝わってきました。

B-1グランプリで優勝した「鳥もつ煮」は多くの方がご存知かと思いますが、それを仕掛けたのが彼を中心とした職員の「大人の部活動」グループだったそうです。その後も形を変えて、甲府の魅力発信に精力的に活動されています。

今回のテーマは路地・横丁文化。「東の甲府、西の広島」と呼ばれるほど一人あたりの飲み屋率が高いという特性を利用し、よく想像されるような、大規模再開発によるまちづくりではなく、横丁の小さな店を活かす方法を実践しています。

また、さらにもうお一方、テナントが減って廃墟寸前のビルを横丁文化をテーマに再生させた青木はるひさんのお話も伺ってきました。ベンチャー企業の担当として、地元の方と徹底的に議論しあい、オープンな横丁空間を誕生させました。

実は研修後の懇親会も、こちらのお店にお邪魔したのですが、ピッツェリアとの仕切りがないまま、木のトロ箱が並ぶ空間に繋がるという、なんとも不思議な光景が広がっています。yoko

オープンスペースでは、どの席にいても、全ての店の料理や飲み物を注文できるそうですが、その仕組みを聞いたところ、7店舗で売上をシェアしているとの事でした。これには驚きました。本当に、とことん議論してビルの再生を成し遂げたという事が分かります。

この研修で思い知らされたのは、地域の魅力は誰もが当たり前に見過ごしている所にあるという事です。鳥もつ煮も横丁も、甲府や山梨の方にとっては今さら売り出すようなものではないと思われていたところ、それを対外的に発信することで大きな集客ツールに変貌を遂げたのです。

ポイントになるのは、やはり人です。土橋さん曰く、人が「何をしてくれるんだ」から「何をすればいいんだ」に変わってくることが非常に重要との事でした。

目黒区も外に誇れる所は沢山あると私は思っていますが、まだ誰も気づいていない、掘り起こすべき魅力が眠っているのかも知れません。まずは地元を徹底的に愛し、見つめ直す所から始まるのでしょう。