意思決定条例

西崎つばさの活動

昨日の早稲田定例会。LM地議連でもすっかりおなじみと言える大津市議会の清水次長から、この先月4月から施行された「議会意思決定条例」についてレクチャーを受けました。Skypeで沖縄・奈良の会場と繋ぎ、資料はクラウド本棚を活用、という現代的な形態でした(^^)

さて、この意思決定条例ですが、違法性の阻却を目的とした極めて事務的なものであると言えますが、そこには清水議会局次長の大きな挑戦が存在します。

そもそもは、議会の意思決定とは議決の他にないのか、という観点から始まっています。執行部であれば、課長名であったり部長名であったり区長(市長)名であったり、様々な形での決定がありますが、議会の場合は議決(=全員参加の多数決での決定)が全てというのが現状です。

しかし、本来は議運決定や議長決定なども有り得ますし、議会の意思決定の機動性確保や手続きを明確化する必要があります。また、地方自治法には、意思決定の方法がハッキリと決められていないケースもあり、これをクリアにさせることも条例のねらいの一つです。

ところが、当初案に対し執行部は猛反対。「違法再議にかける!」との主張まであったそうで、成立までは相当な苦労があったようです。もともとは人事承認案件も、議決でなく別の決定方法を検討していたそうで、それは確かに衝撃的でしょう。

結果的には、議員派遣、専門的知見の活用、本会議での公聴会開催、参考人招致、緊急質問といった議会での決定について、条例で規定することになりました。それぞれの項目について、細かな背景が存在します。

例えば議員派遣について、標準会議規則では、会期中であれば議決が必要、休会中であれば議長が決定できるとされています。しかし、通年議会を採用する地域が増えてきている中、議会報告会の位置づけが問題となってきます。

つまり、通年議会のためにずっと会期中である場合、議会報告会について議員派遣という形をとるのであれば、本来は本会議を開いての議決が必要になるのです。この手続きを経なければ公務とはなりませんから、議会(事務)局の職員が関われないことになります。いずれも現実的ではありませんから、意思決定条例では議長決定で済むこととされました。

また、専門的知見の活用については、大津市議会は3大学とのパートナーシップ協定を結んでいることもあり、事例が多くなっていますが、地方自治法の逐条解説によると、細かな内容まで記載して議決することを求めています。しかし、そのために毎回、本会議での議決を要するのは、やはり手間がかかり過ぎると言えます。これも条例で議長決定とされています。

非常に地味な話のように聞こえますが、議会の決定の法的根拠を問い直す非常に面白い試みだと思います。その他、大津市議会の例規を再編したお話なども伺いましたが、それまで誰も疑わなかった常識に切り込んでいく清水次長の姿勢は、議員以上に議員らしいと感嘆させられます。

目黒区議会の事務局にも積極的にお声がけさせていただいて、軍師ネットワークを広げていくことができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。