GONNAクレーシー議会

西崎つばさの活動

昨日の勉強会の後半は、呉市議会の司書を巡る議論が繰り広げられました。

呉市というと、ネット界隈で非常に話題となった、市のプロモーションビデオが思い浮かびます。TRFの名曲をパロディした、アレです。
呉市サイト

呉市議会は、昨年のマニフェスト大賞も受賞しており、今後、議会図書室の改革例として全国から注目される事でしょう。思い切った動画を作ってきた市だけでなく、議会も負けていないということですね。

さて、その過程。

呉市議会では、議会基本条例を制定した際に、議会図書室の機能強化に努めることが規定されましたが、しばらくは他の議会と同様、単なる物置きの状態でした。図書購入費も年間2万円しかなかったそうです。(参考までに…自治体の規模は異なりますが、目黒区議会は10万円。)

しかし、強い議会(=「議論し、結論を導く議会」)を目指して、本格的な議会図書室改革に取り組むことになり、様々な先進事例をあたった結果、規模の拡大ではなくレファレンス機能の強化を行うことになりました。合言葉は、「一般質問に使える議会図書室」です。

とは言え、資料の充実も図られています。新庁舎の建設を契機に市政資料室と併設し、予算を増額するだけでなく、審議案件や所管事務調査に即した図書購入が行われるようになりました。また、市立・県立図書館や大学図書館との連携もとられています。

さらに、図書室情報誌を各議員のタブレットに配信し、新しい資料を紹介したり、時事テーマを中心に特集棚を組んだり、議員毎に設定したキーワードに合った新聞記事や図書などの情報が提供されるようになりました。

そして、目玉であるレファレンス機能の強化として、常駐の司書を配置し、議員からの依頼に常に応じられる体制が整えられました。司書は日常的に、議会の傍聴や会議録、行政計画の読み込みなどを行い、執行部職員へのレファレンス対応も行っています。

この取り組みの結果、まだ1年が経過したばかりですが、毎定例会の一般質問のうち、およそ半数の議員が質問作成にレファレンスを活用しています。また、視察先の選定にも用いられているとのことです。

課題としては、今後の利用方法のルール設定が一つ挙げられます。「次の一般質問はどうしたら良いか」という相談も実際にあったようですが、無秩序にレファレンスが使われることで、本来の目的を果たせなくなる恐れはあると思います。

また、政策法務や調査担当との兼ね合いも検討課題でしょう。議員の調査活動を支援する体制は、地方議会で絶対に強化しなければならないポイントだと思いますが、それが司書なのか、事務局職員なのか、政務活動費なのか、議論の分かれるところでしょう。

ただ、繰り返しになりますが、呉市議会の図書室改革は市区町村議会の最先端を走っています。物置きか密談部屋にしかなっていない目黒区議会の図書室にも、未来はあるでしょうか。