昨日の続きで、今度は荒川区の防災部の視察報告です。
荒川区は、区内の6割強を木密地域が占めており、防災が非常に優先度の高い事項となっています。首都直下型地震の被害想定では、14%の建物が焼失するという想定がなされています。
一方で、区民防災組織の高齢化や、いわゆる現役世代が日中は働きに出て不在であることから、万が一の際の体制に不安が残ります。
そこで、地元の中学生に「助けられる人から助ける人へ」の意識を持ってもらいたいという区長の強い意向で、平成27年から防災部が創設されました。全ての中学校に組織されており、兼部も可能で、区内10校の生徒3234名のうち444名が加入しています。(H29の数字)
活動内容は、D級ポンプやAEDの操作訓練といった技量の向上、ジュニア防災検定の取得に向けた知識の向上、釜石市の訪問や交流、帰京後の報告会といった意欲の向上が3本柱となっています。また、防災イベント「あらBOSAI」への出展・運営や、各防災訓練や避難所開設訓練、夜警への参加なども行われています。
平成29年からの教育ビジョンにも防災部が明記されており、地域での役割が期待されるほか、小学校への広がりも検討されているようです。また、1期生の卒業にあたってOBOGのネットワーク化も始まり、今後の発展に注目ですね。
この日は、近隣学童との合同避難訓練で、一時避難所である中学校まで、小学生たちを丁寧に誘導する様子を見せていただきました。こうした地域の活動に溶け込みながら、防災力の向上が図られているのは素晴らしいことだと思います。
そして、防災にとどまらず、地域行事への参加や敬老の日ボラティアなど、地域と中学生を繋いでいる防災部の取り組みは、全国的に参考になる事例ではないでしょうか。