ワークスタイル改革

研修・視察

昨日は立憲民主党の都連大会があったために、予定されていた若市議の関東公式研修には行けず(ごめんなさい…)。その代わりという訳ではありませんが、女性議員ネットワークである「WOMAN SHIFT」の勉強会が、今回は男性議員にも開かれているとのことで、お邪魔してきました。

柔軟な働き方へ

テーマは、ワークスタイルの変革について。要は、働き方改革関連の話ですね。講師は豊島区のシステム畑で改革にチャレンジしてきた、高橋邦夫さんです(現在は退職)。

「テレワーク≠在宅勤務」

ワーク・ライフ・バランスの推進は私も重視しており、自らが仕事一筋人間であったことを反省するとともに、仕事と家庭が調和できる社会を目指しています。これは社会的な流れと言えますが、その手段の1つがテレワークです。

テレワークと言うと在宅勤務のことを指すような向きがありますが、本来はモバイルワークやサテライトオフィスも包含した概念であり、日常の業務オペレーションの改革もテレワークにカテゴライズされます。

豊島区の改革事例

豊島区では以前、どこの課も書類で溢れかえっている状態であることが課題となっていましたが、これを解決するために、まずは電子化に乗り出しました。また、各部署単位で途切れているシステムを見直し、どこの部署でも同様のPCやシステムを用いて情報共有ができる体制を目指しました。さらに、新庁舎への移転を契機に、全ての業務エリアを無線LAN化しました。

タブレットの配布

全ての管理職にWindowsタブレットが配付され、モバイルワークへの道が開かれました。もちろん、ペーパーレス化にも繋がるものです。すでに決済は100%電子決済だそうです。なお、全職員を対象にしようとすると人事課との調整が大変になるため、管理職限定とのこと。

ユニファイドコミュニケーションシステムの導入

外出先からも接続でき、在席管理(連絡可能、会議中など)やチャット、IP電話、電話会議やWeb会議、資料共有などが可能なシステムが導入されました。

職員証の活用

職員証に組み込まれているICチップを用いて、それまでのPCやログイン認証だけでなく、専用エリアへの入室時認証やタイムレコーダー連携、さらには複合機にかざすことで、どの端末でも出力できる環境を整え、業務を行う場所の制約をクリアしました。

会議室管理

以前は、部屋が取れないために会議が延期され、決定が送るケースが頻繁にあったために、会議室の予約や空き状況をリアルタイムで管理するシステムを採用し、利用が終わった場合やドタキャンにも対応できる体制となりました。
会議室の予約率が5~7割であるのに対し、稼働率は3~5割となっており、この差分の時間を活用できる仕組みになっています。

成果

ワークスタイル改革の成果を定量的に測るのは難しいところですが、例えばペーパーレス化では、初年度でプリント枚数が2/3に削減されています。計600万枚もの削減です。これだけでも、相当なコストや労力が節約されていることが分かります。

また、もはや会議には紙は持ち込まず、管理職はタブレット、一般職はノートPCを持参してくるとのこと。システム内の会議用スペースに、一連の資料がアップされ、終了後は会議録も添付されるというのですから、非常に利便性も高いことが想像されます。

ちなみに、役所側がタブレット運用を開始したことに伴い、区議会でもタブレットの導入やポータルサイトを用いた資料閲覧、スケジュール管理などが行われています。

その他の特徴

過去の資料

ペーパーレス化と言っても、過去の資料を全てスキャンして電子化しようとすると、あまりに負担がかかり過ぎるために、それは行いませんでした。代わりに、紙媒体資料の情報だけ文書管理システムに入力し、既存の分類および管理の一元化を徹底しました。

区民への無線LANサービス

全エリアを無線LAN化したことに伴い、同じアクセスポイントを使って区民へのWi-Fiサービスも提供されています。1台のアクセスポイントで職員用と来訪者用の接続を行うのは、全国初とのこと。

テレワークの次フェーズへ

豊島区で進められてきたワークスタイル変革は、モバイルワークを強力に押し進めるものでした。こうした働き方が定着してくれば、その先には在宅勤務の可能性が開けてくるのかもしれません。

まだ、豊島区もその段階に達している訳ではありませんが、将来を考えた際に、一歩先にいるというのは間違いないでしょう。

多様な働き方は、社会全体で今後ますます模索されていくと思われますが、そもそもペーパーレス化や電子決済の導入などによるモバイルワークが可能になっていなければ、検討することさえ難しいと言えます。つまり、従来型の業務方法を見直すことは、目先だけでなく、はるか先にある働き方改革に繋がっているのだという認識が必要なのだと思います。