議員の年金の話。

意見・主張

今日は全議員を対象とした勉強会で、地方議員の厚生年金加入の問題について学びました。

議員の厚生年金加入について

現在、市区議会では全体の約1割、町村議会では2~3割の選挙が無投票となっています。なり手不足の原因の一つとして挙げられているのが年金の問題であり、民間企業や役所の職員と同じように厚生年金に加入する仕組みが検討され、業界では全国的に話題となっています。

議員の待遇についての話は世間の理解が得づらい中、我々はこの問題をどう考えれば良いでしょうか。

「議員年金」の経緯

悪名高き「議員年金」については、昭和36年に任意加入かつ掛金のみで運営される互助年金制度が創設され、翌年には強制的に全員適用される議員年金制度が誕生しました。

しかし、その後の全国的な議員定数削減や平成の大合併、運用利回りの低下、高齢化に伴う受給期間の長期化などに圧迫されて、掛金や自治体の負担金の引き上げと給付水準の引き下げが繰り返され、ついには資金が枯渇する見込みとなりました。

こうした事態を受け、平成21年、総務省に検討会が設置され、報告書において廃止も含めた複数案が提示されますが、都道府県、市区、町村それぞれの議長会間で意見はまとまりませんでした。

その後も検討は進み、平成23年には総務省から制度廃止の方針が示され各議長会も了承、同年に議員年金は廃止されました。

廃止後の動き

国会で議員年金を廃止する際には、新たな年金制度について検討を行う旨の付帯決議が、全会一致でなされていました。これを受けて、平成24年には総務省が検討報告を行い、既存の被用者年金、つまり厚生年金への加入の検討が示されました。

その後、全国市議会議長会は、議決や要望活動など、地方議員の厚生年金加入を積極的に進める動きを取ってきています。また、各団体による意見書も、平成28年の時点で1038団体、市区議会でも814のうち329議会から提出されている状況です。

具体的な年金の仕組み

こうして検討、要望されている年金の仕組みですが、民間の被用者と全く同じです。厚生年金の基準である報酬額の9.15%を各議員が負担し、同額を役所が負担するというものです。

勉強会では目黒区議会での試算も提示いただきましたが、現在は国民年金で年19.8万円の負担であるものが、71.2万円増の91万円を負担することになり、公費でも同額の負担が発生します。そして、例えば3期12年の在職期間だと、年額143万円が受給できるという計算になります。

地方議員の厚生年金加入に対する私見

現時点での考えですが、私は、この検討どおりに進めるべきではないと思います。自営業の方など、国民年金のみで老後を迎える方は、今でも1500万人以上います。定年がないのは議員も同じです。この方々を差し置いて、政治の側が先に厚生年金に加入しようというのは、筋が通らない話でしょう。

都市部の議会は一定の報酬があり、議員のなり手に困っていないという状況の差はあれど、それなら報酬額そのものを議論すべきで、公費負担が発生する厚生年金に手を突っ込む必要はありません。

もう少し事情を勉強する必要はあろうかと思いますが、現段階ではこのように判断いたします。皆さまはどうお考えになるでしょうか。