2月に市議選が終わったばかりの町田市で、「東京若手議員の会」の研修会を開催しました。休会中の研修シーズンも、そろそろ区切りを迎えます。
新公会計制度と行政評価
町田市の公会計制度と、それに基づく行政評価は、私がかねてから学びたいと思っていたのですが、ようやくご縁を頂いて話を聞くことができました。目黒区が検討している行政評価制度にも必ず関わってくる、超重要な項目です。
町田市では2012年、当時の市長のトップダウンで、現金主義・発生主義の会計を改め、複式簿記を導入しました。財務諸表をマネジメントに活用する観点から、いわゆる東京都方式の日々仕訳が採用されています。それまでの予算の区分をあらため、原則的に一課一目とし、課別、部別、会計別の財務情報がシステマチックに作成できるようになっています。また、それ以外に任意で事業別の評価シートが作成されています。
3月で会計年度が終了すると、出力された財務情報などをもとに職員が分析を行い、8月には評価シートが公表され、議会の決算審査の際には主要な施策の成果説明書に添付されます。決算質問の9割は、評価シートを基に行われるとのこと。
事業ごとの成果や課題、単位あたりコストやその推移などが見える化されることによって、その事業の妥当性が検証しやすくなっており、PDCAサイクルが回ることになります。
また、こうしたデータを参照しての市民参加型の事業評価も行われており、市政の透明性が非常に高いと感じさせます。
さらに、部署ごとの人件費や物件費の比較、施設別のコスト比較、同種別(図書館同士など)の比較なども明らかにされており、課題の抽出や改善に取り組みやすい環境整備が徹底されています。
それまでの業務をデータに基づいて総括し改善していく、そんな当たり前の話ではありますが、それが出来ていなかったのがこれまでの役所です。目黒区でも今後、公会計と連動した行政評価制度が構築される予定になっていますが、町田市くらい徹底してやるべきだと思います。
地域起点型のまちづくり
2コマ目には、立川を中心に民間起点でまちづくりを進めている「株式会社まちづくり立川」の岩下社長からお話を伺いました。
同社はこれまで、地元農家と飲食店を繋ぐ拠点やシェアオフィス、クラウドファンディングのプラットフォーム、ものづくり型創業支援拠点などを創り出してきました。
また、地域主導で3人制バスケットボールのチームを作り、日本選手権大会で優勝。世界大会へと駒を進めるなど、スポーツを通じたまちづくりも進めています。
極力、行政の補助金を受けずに民間の力で取り組んでいるのが特徴的で、「行政は規制緩和だけしてくれれば良い」と言い放つのは流石です。
「行政によるまちづくりはハードを意識しがちだが、民間は郷土愛・シビックプライドを生み出すのが重要」との言葉どおり、創業支援やスポーツなどによって、「立川でなら成功できるかも」という、アメリカンドリーム的なイメージをつくり出しています。
確かに、岩下社長のような方がいれば、もはや行政の出る幕はなく、邪魔をしないことが最大の支援なのかもしれません。
先日学んできたオガールとも共通する部分があるように感じますが、「特定の会社だけ肩入れするのはちょっと…」という姿勢ではなく、まちのために頑張ってくれる民間をしっかり支援することが、最も良い結果を生み出すのではないでしょうか。