議会図書室改革勉強会
今日はローカル・マニフェスト(LM)推進地方議員連盟の勉強会。議会図書室の改革を継続的なテーマとして扱っています。
地方自治法100条で必置とされている議会図書室は、大多数の議会で物置と化しています。これをどうすべきかについて、事例報告や講演を踏まえて議論しました。
議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。
田原市の事例
今回の目玉となる事例報告は、愛知県田原市の中央図書館が、行政や議会に対する支援サービスを行っているというものでした。
田原市の「行政・議会支援サービス」
田原市では、中央図書館がその名の通り「行政・議会支援サービス」を行っており、レファレンスや資料の複写、団体貸出、政策やイベントのPR展示といったサービスが提供されています。
ここでは議会に特化して報告しますが、これまで議会BCPや廃校活用事例、貧困対策や家庭ごみ有料化など、多岐にわたる調査を引き受け、関連する資料の提供が行われ、それらは議会事務局に展示され、議員の目に触れるようにされています。
また、田原市議会の図書室についても、資料の選定や棚のレイアウトの見直し、ブックエンドの提供など、直接的なサポートを受けています。
なお、これらのサービスは、通常の図書館業務の人員体制で担われています。
変革のきっかけ~フェリー廃止の危機~
全国的に見ても非常に先進的なサービスが、人口6万人強の街で始まったきっかけは、田原市と三重県鳥羽市を結ぶフェリー航路が廃止される動きが表面化したことです。この航路がなくなると、田原市は袋小路化してしまい、人の流れが停滞してしまう恐れがありました。
これに対応するため、中央図書館では、「再発見!鳥羽⇔伊良湖フェリー展」を開催し、模型やパネルの展示、観光パンフレットの配布などを行ったほか、運航会社に届けるメッセージも募集しました。
結果的に、フェリーの存続が決定し、この動きが課題解決支援サービスの元となりました。
図書館の機能
では、こうした田原市の図書館の取り組みは特別なのでしょうか。
実は、文部科学省が告示している「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」において、次のように示されています。
第二 公立図書館
一 市町村立図書館
3(三)地域の課題に対応したサービス
市町村立図書館は、利用者及び住民の生活や仕事に関する課題や地域の課題の解決に向けた活動を支援するため、利用者及び住民の要望並びに地域の実情を踏まえ、次に掲げる事項その他のサービスの実施に努めるものとする。ウ 地方公共団体の政策決定、行政事務の執行・改善及びこれらに関する理解に必要な資料及び情報の整備・提供
上記のように、文科省が提示する基準において、そもそも自治体の政策決定や事務執行の支援をするよう努めることが求められているのです。
つまり、どの自治体の図書館であっても実施し得る(少なくとも努めるべき)サービスなのです。
議会図書室改革の方向性
議会図書室の改革という本論に立ち返ったとき、目黒区を含む市区町村の議会において、専任の司書を置くのは少なくとも現段階では非現実的です。これを補うものとして、公共図書館との連携はじゅうぶん検討すべき課題であると思います。
さらに、議会図書室、区政情報コーナー、公共図書館の機能の棲み分けをどう捉えるべきかという議論にも発展します。
また、議会の提言能力強化だけを考えると、議会事務局の機能強化と同列の議論になりがちですが、そもそも議会が住民自治の根源であることを踏まえると、議会図書室の役割の再定義が必要であると言えます。
引き続きの調査と議論が必要です。