働き方改革セミナー@マイクロソフト
政府や都の進める「テレワーク・デイズ」が、今日からスタート。
https://teleworkdays.jp/
これに合わせて行われた、地方議員対象の働き方改革セミナーにお誘いを頂き、品川駅前の日本マイクロソフト株式会社さんにお邪魔してきました。
マイクロソフト社といえば、Windowsをはじめとして普段の仕事に欠かせない商品・サービスを提供していただいていますが、政府の提唱する働き方改革において、数々のアワードを受賞していることも注目されています。
ICT技術が発展する中、場所や時間に縛られないワークスタイルの模索は必須だと思いますし、私も先月の一般質問で取り上げたばかりです。
いつでも、どこでも、誰とでも
マイクロソフトの働き方改革は、「いつでも、どこでも、誰とでも」を徹底的に追求したものです。出社=仕事という概念は取り払われ、例えば東日本大震災が発生した後の1週間は、ほとんどの方が出社しなかったそうですが、それは働いていないということではなく、会社以外の場所で業務を行っていました。
実際にオフィスも見学させていただきましたが、社員の6割は固定のデスクを持っていません。その分のスペースは会議室や作業室などに割かれており、遠隔会議が可能な環境が整っています。
こちらは商品の展示ですが、こうした会議室がオフィスのあちこちに点在しています。ただし、タフな交渉や高度な判断を要する場合なども含め、顔と顔を合わせることも重要視しており、その必要がない場合は技術で対応しています。
「生き残り」のための改革
最先端事例として、これまで100万人もの方が訪れたという品川本社ですが、一連の働き方改革は、それ自体を目的としているものではありません。ここが最大のポイントです。
つまり、生き残りの厳しいIT業界を勝ち抜くために、あらゆる資源を投入して生産性を向上させ、利益を追求してきたことが、結果として多様な働き方に繋がっていたということです。
多くの日本企業は、「特別な時に、一部の人が、限定的な場所で」の働き方を見直しています。しかし、マイクロソフトのワークスタイル変革は、育児や介護などで従来の働き方が困難な社員への福利厚生ではなく、会社の利益のために、あらゆる選択肢を用意して働く環境を整備し、「すぐに仕事をしろ」という姿勢が貫かれています。
働き方改革の方法論
マイクロソフトの働き方改革は、
- ペーパーレス化
- 便利と安全の両立
- 習慣化
の3つで進められてきました。順に紹介します。
ペーパーレス化
一口にペーパーレス化と言っても、単純に紙を無くすだけではありません。
同社では、業務の整理整頓、標準化および電子化を行い、日本企業が美徳としてきた例外対応や例外要求を最小化することを徹底しました。一連の手続きを見直し、組織ごと無くすといった改革も経て、仕事を小さく、シンプルにしてきました。全世界で見ると10兆円のビジネスが、完全にペーパーレス化されています。
便利と安全の両立
先端技術を用いた働き方に利便性があるのは当たり前ですが、それによってセキュリティが脅かされては元も子もありません。労務管理や情報管理を徹底的に厳しくし、万全なリスクコントロールを施しています。また、社員のコンプライアンスも徹底させ、毎年試験を行い、合格するまで仕事はできないようになっています。
習慣化による企業文化の変革
マイクロソフト社でさえも、環境が整った当初は組織の習慣が全く変わらなかった時期があったそうです。しかし、社内広報や研修などを通じて、とにかくできる所から始めるとともに、社員の自発的な選択によって進められることで、変革が自動的に継続し、企業文化が作り上げられています。
目黒区役所を顧みて
マイクロソフトは最先端すぎるとも言えますが、それにしても役所の働き方は旧態依然としています。先月にあらためて提案したペーパーレス化も、いつ進んでいくかは全く見通せず、もはや何から手をつけてよいか分からない状態です。
しかし、人口減少社会を迎え、税収も減っていく時代において、働き方の見直しが避けて通れないことは分かっているはずです。
マイクロソフトが生き残りのためにワークスタイル変革を行ったように、目黒区行政も、住民から預かった税金の効用を最大化し、行政サービスの質と量を徹底的に追求するために、従来の働き方を見直すべきです。
区の情報化推進計画では、2020年度までに会議資料のペーパーレス化が謳われ、実施することも先月の質疑で確認しましたが、本来の目的はずっと先にあります。ほんの少しでも、できることからすぐに始めていかなければ、本当に取り残されてしまうと、あらためて危機感を覚えます。繰り返し繰り返し、提案していかなければ。