2018.10.3 議会運営委員会視察
議運の視察で北海道に来ています。地震の影響が心配されましたが、現在は節電の呼びかけは継続しているものの、函館周辺においては日常の生活が営まれています。
今日は北斗市にお邪魔し、議会改革のプロセスを学ばせていただきました。
北斗市の議会改革
北斗市は、2006年に上磯町と大野町が合併して誕生した人口5万人弱のまちで、函館市の隣に位置します。
議会改革については、2007年から2期にわたって特別委員会を設置し、数多くの項目が議論・検討され、多くが施行されました。以下、報告します。
第1次議会改革
2007年12月に「議会改革等に関する調査特別委員会」が設置され、6会派から1名ずつと、無会派から1名、さらに副議長の計8名がメンバーとなりました。
各委員が検討項目を提出し、集まった全98項目のうち、重複などを整理し50項目として、それぞれの検討が行われました。以下、主な内容です。
実施したもの
- 費用弁償(1日1000円)の廃止
- 議員定数の削減(26名→22名)
- 一問一答方式の導入
- 議運での意見書審査開始
- 正副議長選挙での所信表明演説(全員協議会で実施)
- 議会だよりやホームページの充実
- 議会事務局強化(減員の申し出拒否)
- 選挙公報の発行
今後の課題としたもの
- 議会基本条例
- 長期欠席議員の報酬削減
- 一般質問の答弁書配布
見送ったもの
- 閉会中の委員会開催
- 複数委員会への所属
- 政策公開討論
- 市民集会
- 政務調査費の導入
第2次議会改革
2011年6月に「議会活性化等に関する調査特別委員会」設置し、前回と同様の手法で検討項目21項目を審査しました。以下、主な内容です。
実施したもの
- 一般質問の時間制限(60分→30分)
- 質問者席の設置
- インターネット中継
- 長期欠席議員の報酬減額
見送ったもの
- 議会報告会
- 市民との意見交換会
- 議会基本条例
- 反問権の付与
一問一答方式
上記から、一般質問での一問一答方式について詳しくご説明を頂きました。
一括質問方式だった頃は、質問回数は3回までですが、時間制限がなかったために、大変長時間に及ぶこともあったそうです。そこで、第1次議会改革で、時間制限と併せて検討のうえ、導入されました。質問の要点も明確になり、意図や趣旨が伝わりやすく、議論が活発になることを期待しての決定です。
運用上は「複合方式」を採用しており、1回目の質問は登壇して一括方式で行い、2回目以降は質問席から一問一答に切り替わります。
手法の変更にあたっての行政側との調整もスムーズに進み、導入後の議員側(特にベテラン議員)の反応も良好との事で、しっかりと定着している様子が伺えました。
まとめ
北斗市の議会改革は、全国を見渡して超先進事例というわけではありません。
しかし、第1期は1年間で13回の委員会と4回の全員協議会、第2期も1年間で6回の委員会と1回の全員協議会を経て結論を出すという、非常にスピード感のある検討プロセスは注目すべきと思います。現実的に合意を得やすい点を着実に進めていることも速さの理由の一つだと思います。
理想を目指しながら、いつまでも改革できないのではなく、できるところから手をつけていく考え方は、特に遅れている23区の議会改革では重要なポイントと言えます。
なお、北斗市議会は、今年の第2定例会で条例改正を行い、来期から議員報酬を増額することが決定しているとのこと。議員の担い手不足という側面もあるのかもしれませんが、きちんと仕事をしているという自負を持って、議員報酬を上げるというのも、立派な議会改革だと言えるでしょう。