念願の渋谷区新庁舎へ

研修・視察

2019.9.4 東京若手議員の会 視察

東京若手議員の会(関東若手市議会議員の会 東京ブロック)の役員会および、その後に視察。ずっと見たいと思っていた渋谷区の新庁舎を見学および説明していただきました。

渋谷区新庁舎

渋谷区は、今年(2019年)1月に新庁舎での業務をスタートさせています。新年会シーズンには、長谷部渋谷区長が挨拶で何度も自慢していたのを聞き、ぜひ見に行きたいと思っておりました。

経緯

建て替えの大きな契機となったのは、やはり東日本大震災とのことでした。以前から耐震診断や補強を実施していましたが、震災後の測定では、Is値が基準を大きく下回ったことから、検討が開始されました。なお、書類で溢れたオフィス環境も課題の一つとなっていたようです。

それにしても、検討開始から8年で庁舎の建て替えが完了するというのは、相当早いペースだと思います。

スキーム

建て替えにあたっては、可能な限り民間のノウハウを活用するため、公募条件をできるかぎり抑えることで、設計の自由度を高める工夫がなされています。

具体的には、工期が短く、区の財政負担が最小限であること、以前と同程度の規模の建物とすることに加え、免震構造等の採用や省エネの徹底、維持管理費の縮減など、大枠を示すだけのものでした。

その結果、5者から応募があり、うち4者の提案が「区の財政負担ゼロ」でした。選定されたのは、庁舎と公会堂、区有地の定借によるマンションを別棟で建てるプランでした。

途中で建築費用の高騰による金額変更はあったものの、70年間の定期借地権で211億円を生み出し、それによって庁舎と公会堂の建設費用を全てまかなえることになっています。

新しい働き方への対応

そして新庁舎は、新しい働き方の可能性を大きく開くものになっています。

オフィスエリアには、基本的に柱や背の高い棚などを置かず、職員のコミュニケーションが取りやすいオープンな空間となっています。

空間の見渡せるオープンな環境

タブレット型のPCを1人1台支給し、所属する課や係の範囲であれば、座る席を自由に決められる「グループアドレス」を採用し、当日の業務に合わせて仕事環境を選べるようになっています。

また、ペーパーレス化を進め、退庁時には机の上に何も置かないクリアデスクをルールとしています。

個人の引き出しがないので、文房具は一箇所に集約されています。

また、ところどころにワークラウンジやミーティングスペースが配置され、こちらは部や課に関わらず、自由に利用することができます。

ミーティングスペース。本来は奥にモニターも設置されています。

その他

緊急時には災害対策本部となる部屋も、普段は自由に使える会議室として利用されています。有事の際しか使わないスペースを専用に確保しておくのは非効率的ですよね。

災対本部スペース。手前に机があるように、普段は会議室として使われています。

また、各フロアにはベビーケアルームが設置され、オムツ替えや少し遊ばせることのできるマットのエリアなどが用意されています。

授乳室は、別に用意されています。

まとめ

今の目黒区役所を、いきなり新しい形に変えるのは非現実的と言えます。しかしながら、いつか必ず来る施設更新を見据えて、新たな働き方に対応するための検証や準備はできるのではないでしょうか。

また、区の財政負担を生じさせずに大規模施設を建て替えるスキームは、近くは区民センターの見直しにおいて、避けて通れないと思います。

最後は利便性やコストなどのバランスですが、すぐ隣である渋谷区の事例は、今後も参考になり続けるのではないでしょうか。