今こそ、本気の温暖化対策へ。
昨年は、台風の脅威をあらためて思い知らされました。最近の区議会でも、防災や有事対応が、かなりの時間をかけて議論されています。
一方、風雨だけではなく、熱波や寒波、干ばつや森林火災などの災害が、これまで経験したことのない規模で、世界各地で猛威を振るっています。
なぜこんな状況になってしまったのか。今号では、その原因とされる気候変動について取り上げます。
温暖化と大雨の関係
気温や海面水温の上昇は、大気中の水蒸気量を増加させ、台風や雨雲を発達させると考えられます。
気象庁によると、1 時間50 ミリ以上の大雨が発生した回数は、40 年前に比べて1.4 倍に増加。さらに2012 年以降、全国の3 割の地点において、1 時間あたりの降雨量が観測史上最大を更新するなど、温暖化の影響が深刻になっていることが、統計からも伺えます。
(図解)1時間降水量50mm以上の年間発生回数
集中豪雨について明確な定義はありませんが、1 時間50 ミリを超える非常に激しい雨が降った回数は、有意に増加しています。
アメダスの観測期間が比較的短い(40 年あまり)とは言え、地球温暖化による影響の可能性があると気象庁は指摘しています。
世界および日本の動向
昨年12 月のCOP25 では、温室効果ガスの削減目標引き上げは不十分な表現にとどまり、今年から本格始動したパリ協定における市場メカニズムのルール合意も先送りされました。
日本は、脱石炭や排出削減で踏み込めずに世界の批判を浴び、環境NGO からは不名誉な「化石賞」を期間中に二度も贈られています。
ただ、事業者レベルで見ると、気候関連の財務情報開示タスクフォース(TCFD)への国内の賛同数が世界一を誇るなど、決して関心が低いわけではなく、総論賛成・各論反対の様相を呈しています。
目黒区の状況
では、目黒区はどうでしょうか。近年の推移を見ると、エネルギー使用量は減少傾向にあるものの、CO2 総排出量は横ばいとなっており、残念ながら努力が実ったとは言えない状況です。
現行の計画「めぐろエコ・プランⅢ」は、国に準じて2030 年度までに2013 年比で総排出量を40% 削減する目標を設定していますが、独自策に乏しく、あまり意欲が見えてきません。
(図解)目黒区のCO2排出量・エネルギー使用量
区のエネルギー使用量は、2012 年の算出開始から減少傾向にありますが、東日本大震災以降、「排出係数(発電の際に生じるCO2 の割合)」が高止まりしている影響で、総排出量は横ばいの状態です。
これまで以上に、省エネの推進や再エネの活用、先端技術の導入やまちの緑化、エコオフィス活動、さらには電気調達手法の見直しなど、あらゆる方策を用いて、削減目標の引き上げに向かうべきです。
気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration)
ここ数年、相次ぐ異常気象を受けて「気候非常事態宣言(CED)」を表明する自治体が世界中で増加しており、日本でも昨年9 月の長崎県壱岐市を皮切りに、少しずつ広がりを見せています。
また東京都は、パリ協定で大目標とされている気温上昇1.5℃以下を目指すため、2050 年にCO2排出実質ゼロを目指す「ゼロエミッション東京戦略」を発表し、気候危機行動宣言に代えました。
これらの動きに、目黒区も呼応する必要があるのではないでしょうか。
今こそ、考え直すとき
もちろん、温暖化対策は政治や行政だけで完結するものではなく、一人ひとりの意識と行動が変化しなければ、かけ声倒れに終わってしまいます。
若き環境活動家グレタ・トゥンベリさんに限らず、我々の子や孫、さらにその先の世代に渡す地球をどうするか。激化する災害の脅威を目の当たりにしている今だからこそ、立ち止まって考え、できることから始めてみませんか?
※ 過去のレポートはこちら